Blue Prism統合の概要
1. はじめに
このドキュメントは、Blue Prismプラットフォームとの統合構築を検討している方が最初に読むためのものです。
Blue Prismとの統合は、おおまかに2つのカテゴリーに分かれています。
- Blue Prismへのインバウンド統合
- Blue Prismからのアウトバウンド統合
一部のソリューションには、インバウンドとアウトバウンドの両方が用意されています。
1.1インバウンドの例
インバウンド統合の例には以下のようなものがあります。
SOAP Webサービスとして公開されているBlue Prismプロセスを呼び出して、他のシステム(レガシーメインフレームなど)からデータを収集するエンタープライズケース管理(ECM:Enterprise Case Management)システム。この場合、Blue Prismプロセスは、ターミナルエミュレーターを介してメインフレームと統合し、レコード情報を取得してその情報をECMシステムに戻します。
コマンドラインからBlue Prismプロセスを実行して、システムソフトウェアにパッチまたは更新を適用するWindowsサービス。
インバウンド統合は、通常、Blue Prism外部のシステムまたはアプリケーションからトリガーされます。
1.2アウトバウンドの例
アウトバウンド統合の例には以下のようなものがあります。
- ターミナルエミュレーターを介してバックエンドメインフレームに接続し、メインフレーム上のレコードを更新するBlue Prismプロセス。
- Webサービスに接続し、顔認証を使用して画像を処理するBlue Prism Visual Business Object(VBO)。
アウトバウンド統合は、通常、Blue Prism環境の中からトリガーされます。
2. インバウンド統合
この章では、Blue Prismプロセスの呼び出しと実行に使用できるさまざまな方法の概要を説明します。前述のように、インバウンド統合では通常、Blue Prismプラットフォームの外部のアプリケーションをBlue Prismプラットフォームに呼び出して何らかのアクションを開始します。
2.1SOAP Webサービス
Blue Prismは、Windows PCからアクセスできるアプリケーションをグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)経由で自動化するように設計されていますが、ユーザーがWebサービス経由の自動化と統合を希望する場合もあります。
Blue PrismはWebサービス接続をサポートしており、以下が可能です。
-
サードパーティのアプリケーションまたはデベロッパーが、以下の目的で、Blue Prism内からVisual Business ObjectおよびProcessを使用および開始できます。
- Blue Prismによってすでに自動化されているレガシーシステムとやりとりする。
- 事前に設定されたスケジュールに基づいて処理を開始できる状態になっている適切なキューに作業項目を追加する。
- Blue Prismでただちに処理される作業項目をトリガーする(リソースが利用できる場合)。
- Blue Prismが自動化するシステムからデータを取得する。
- Blue Prismから情報を取得する(作業キュー、スケジュール、作業履歴などの詳細)。
Blue Prism Visual Business ObjectおよびProcessは、公開されているWebサービスを使用してサードパーティシステムとやりとりできます。
Webサービス統合は従来型のソフトウェア開発手法であり、使用にあたっては、おおまかに次のような考慮事項に照らして評価する必要があります。
需要が多い期間中における、基盤となるシステムのパフォーマンスへの影響。
プレゼンテーションレイヤーで実装されているデータ検証が、Webサービスのやりとりに手動で適用されていることを確認します(例:この検証ロジックがWebサービスを使用することによってバイパスされないことを確認します)。
ITガバナンスのレベルは、GUIベースの自動化で要求されるレベルと異なる場合があります。多くの場合、Webサービスでは、エンドユーザーがアプリケーションのグラフィカルインタフェースを使用して作業する場合よりも広範な機能が提供されます。
Blue Prism VBOまたはProcessをWebサービスとして公開する方法の詳細については、次のリンクにあるガイドをお読みください。
https://portal.blueprism.com/documents/v63-user-guide-web-services
2.2コマンドラインツール
Blue Prismプロセスは、コマンドラインインタフェースを使用して開始できます。Windowsコマンドライン(cmd.exe)を使用し、プロセス、プロセスを実行するBlue PrismリソースPC、その他の構成を定義する追加パラメーターを指定して、Blue PrismのAutomateC.exeプログラムを実行します。このアプローチでは、サードパーティのスケジューラーを使用して、Blue Prismプロセスを開始できます。また、1つのBlue Prismプロセスが別のBlue Prismプロセスを別のリソースに対して開始させるようにし、実行のフローを分岐させて並列的に実行することもできます。
AutomateC.exeは、以下のどちらのソースからも起動できます。
Windowsコマンドライン(cmd.exe)
Windows OS用の命令を含むバッチファイル(.bat)
Blue Prismコードステージ
サードパーティスケジューラー(Blue Prismもインストールされているマシン上で)
コマンドラインからBlue Prismプロセスを呼び出す方法の詳細については、次のリンクから入手できるガイドをお読みください。
https://portal.blueprism.com/documents/guide-dynamic-process-execution
また、AutomateC.exeは、コマンドラインパラメーターHelpもサポートしています。これにより、使用可能なすべてのコマンドラインパラメーターに関する詳細を確認できます。操作は、Blue Prismがインストールされているマシンのコマンドプロンプトから次のコマンドを実行するだけです。
"C:\Program Files\Blue Prism Limited\Blue Prism Automate\AutomateC.exe" /help
コマンドラインパラメーターに関する追加のヘルプは、Blue Prism Studioの「ヘルプ」メニューオプションからご利用いただけます。「Blue Prismコマンドラインオプション」のトピックを検索してください。
2.3スケジューラー
スケジューラーにより、Blue Prismは指定された時間にプロセスを実行し、異なる間隔で実行を繰り返すことができます。スケジューラーは、次のスケジュールをアクティブにする時刻まで待機し、その時刻に実行される予定のスケジュールをアクティブにするバックグラウンドプロセスです。
スケジュールは、一連のタスクの実行ポイントです。各スケジュールは自己完結型であり、名前、説明、タイミングデータ、実行する一連のタスクなどのさまざまなデータで構成されています。タスクは、スケジュールのコンポーネントです。特定のリソースPCで実行されるように構成された一連のセッションを定義します。タスクはまた、現在のタスクが完了または失敗した時点で実行する、スケジュールの次のタスクも定義します。
スケジュールは、1回だけ実行されるように構成することも、毎分、毎時間、毎日、毎週、毎月、毎年繰り返し実行されるように構成することもできます。カレンダーを使用すれば、平日の特定の曜日や祝日をスキップして、営業日のみにスケジュールを実行することができます。
Blue Prismスケジューラーの使用方法に関する詳細情報は、次のリンクから入手できます。
https://portal.blueprism.com/documents/blue-prism-guide-scheduler
https://portal.blueprism.com/documents/blue-prism-dynamic-scheduler-examples
3. アウトバウンド統合
この章では、Blue Prismプラットフォームが別のシステムでアクションを開始するために使用できるさまざまな方法について概要をおおまかに説明します。前述のように、アウトバウンド統合ではBlue Prismプラットフォームが外部プラットフォームを呼び出します。
3.1.UI自動化
GUI自動化は、RPAで使用される最も古い統合メカニズムのひとつです(画面スクレイピング)。UI自動化はGUI自動化の延長線上にあります。UI自動化は、MicrosoftのWindows用アクセシビリティフレームワークであり、Windows Presentation Foundation(WPF)をサポートするすべてのWindowsオペレーティングシステムで使用できます。
Blue Prism v6.2以降では、Blue PrismのアプリケーションモデラーからUI自動化モードを使用でき、Windowsおよびブラウザーベースの多数のアプリケーションの自動化に使用できます。データベースに対する直接クエリーやアプリケーションAPIなどのより直接的なデータアクセスではなく、GUI自動化を介して統合する必要がある場合、UI自動化を優先的な「スパイ」メソッドとして使用することをお勧めします。
スパイとは、アプリケーションのGUI内の特定の要素を調べて、その要素のさまざまな属性の値を判定するプロセスです。さまざまなテキストボックスの調査はその一例です。
このアクセシビリティフレームワークを開発したMicrosoftによれば、「これはもともとスクリーンリーダーとスピーチアプリケーション用に作成されたインタフェースです」。Blue Prismのソフトウェアでは、Windows OSのこの機能と統合するスパイモードを構築しており、これを多くのアプリケーションが提供しています。他のモードと同様に、UI自動化は、ほとんどの最新のWindowsおよびブラウザーアプリケーションと適切に連携します。ただし、やりとりを行うアプリケーションがどのように構築されているかに大きく依存するため、すべてのアプリケーション、あるいはアプリケーション内のすべての要素と適切に連携するという保証はありません。
3.1.1.アプリケーションモデラーでUIAモードを有効にする方法
アプリケーションモデラーでUIAモードを使用するには、通常どおり「識別」ボタンを押して新しい要素をスパイし、次に識別(またはスパイ)モードでAltキーを押して、使用するインタフェースを変更するだけです。スパイツールが紫色に変わり、画面の上部に以下のメッセージが表示されるまで、Altキーを押し続けます。
UI自動化の詳細については、次のリンクにあるバージョンまたは言語専用のガイドをお読みください。
https://portal.blueprism.com/documents/blue-prism-guide-uia
3.2.Visual Business Object(VBO)
Visual Business Object(VBO)は、Blue Prism環境の2つの基本要素のうちの1つです。もう1つはProcessです。C#、C ++、Javaなどのプログラミング言語で作成するオブジェクトと同様に、VBOは機能のロジックをカプセル化したものです。VBOは、Blue Prismコードステージを使用してVB.netまたはC#.netで記述できる、コードで書かれた関数のセットの形式をとることができます。または、Object Studioツールバーの他の論理ステージのワークフローである場合もあります(ナビゲート、読む、書くなど)。
Blue Prismには、標準のBlue Prismドラッグアンドドロップ機能に加えて、認定VBOが多数付属しており、豊富な拡張機能を自動化で使用できるようになっています。これらの統合には、Excel、Word、およびOutlookのラッパーが含まれます。さらに、SQL Server、OLEDB、およびActive Directoryのサポートも含まれます。
Blue Prism認定VBOは、Blue Prismインストールパス内のVBOフォルダーからインポートできます。通常は、次のいずれかになります。
C:\Program Files (x86)\Blue Prism Limited\Blue Prism Automate\VBO
C:\Program Files\Blue Prism Limited\Blue Prism Automate\VBO
Blue Prism VBOは、パートナーおよびお客様が開発したVBOとともに、Digital Exchangeでも利用できます。
https://digitalexchange.blueprism.com/dx
3.2.1.VBOと.NET Framework
VBOとコードステージを使用すると、Microsoft .NET Frameworkを構成するさまざまなライブラリにアクセスしてBlue Prismコードステージ内で使用できるため、Blue Prismの利用範囲を任意の数のアプリケーションやプラットフォームに拡張できます。
VBO、オブジェクト設計、およびBlue Prism内での.NET Frameworkの操作に関する詳細については、次のリンクを参照してください。
https://portal.blueprism.com/documents/visual-business-objects-vbo-guide
https://portal.blueprism.com/documents/object-design-guide
https://portal.blueprism.com/documents/object-design-instruction-odi-template
3.3.WebAPI/スキル
Web API機能は、Blue Prism v6.4のリリース時点での新機能です。公開されているHTTP APIを提供するシステムおよびサービスとのネイティブなやりとりを構成するためのインタフェースを提供します。最も一般的なのはRESTful Webサービスです。
Web APIサービス機能により、Blue Prismプロセスはこれらのサービスとやりとりし、自動化されたビジネスプロセス内で、これらの外部システムが提供するデータやサービスを提供したり、使用したりできます。Web API機能がネイティブで提供する機能により、最も一般的なサービスをBlue Prismで自動化できます。これらの機能は、コードステージを使用して拡張し、特殊または複雑なデータ構造と認証メカニズムで使用できます。
Web API構成ツールは非常に柔軟性の高い設計になっており、複雑なAPI呼び出しを確実に構成できるようにしています。Web API定義は「Blue Prism System」タブで作成され、各定義には複数のアクションを含めることができます。各アクションは通常、API内のエンドポイントを表します。アクションによって、HTTP要求の作成方法を定義し、HTTP応答が出力パラメーターに変換される方法を決定します。
API定義を構成した後は、関連付けられたアクションをオブジェクトで使用して、プロセスデベロッパーが自動化の一環としてサードパーティサービスとのやりとりを使用するようにできます。
Web API定義を構成および使用する方法の詳細については、次のリンクを参照してください。
https://portal.blueprism.com/documents/v64-user-guide-web-apis
3.3.1.インテリジェントオートメーションスキル
インテリジェントオートメーションスキルは、v6.4から利用可能になったBlue Prismの新機能です。Blue Prismインテリジェントオートメーションスキルは、機能を備えたアイテムです。たとえば、Blue Prismプロセスオートメーションで使用するため、ブランド化およびパッケージ化された外部サービスや機能向けに事前設定された接続などがこれにあたります。スキルパッケージには、API定義の使用をサポートするWeb API定義と資格情報が含まれています。パッケージはBlue Prismにインポートし、その後オブジェクトとプロセスのステージとして使用することで、さまざまなテクノロジーと簡単かつ効果的にやりとりできます。必要なBlue Prismアイテムを作成および構成するといった余分な作業は不要です。
以下の機能により、Blue Prismクライアントでインテリジェントオートメーションスキルを簡単に使用できます。
.bpskillファイルタイプのスキルパッケージは、「ファイル」>「インポート」機能を使用してBlue Prismにインポートできます。
「スキル」>「管理」画面には、インポートされたすべてのスキルが一覧表示され、参照の有効化と無効化や検索の制御が可能です。
Object StudioおよびProcess Studioのスキルツールバーでは、ドラッグアンドドロップ機能を使用してBusiness ObjectおよびProcessにスキルを追加し、すべての搭載スキルにアクセスできます。
スキルのインポート、スキルの管理、およびスキルの表示のアクセス許可は、ユーザーの役割に対して有効にできます。
スキルパッケージはBlue Prism Digital Exchanged(DX)からダウンロードでき、次のグループに分類されます。
注:現時点では、スキルパッケージはBlue Prismでしか作成できません。機能をインテリジェントオートメーションスキルとしてパッケージ化する場合は、WebAPI定義と資格情報を.bpreleaseとしてエクスポートし、Digital Exchangeに送信できます。次に、Blue Prismがコンポーネントを確認し、.bpskillとしてパッケージ化し、Digital Exchangeでリリースします。
スキルがBlue Prism環境にインポートされると、Process StudioおよびObject Studioで使用できるようになります。
インテリジェントオートメーションスキルの詳細については、次を参照してください。
https://portal.blueprism.com/documents/v64-data-sheet-intelligent-automation-skills